高裁判決文を読む
将棋界では、将棋専門チャンネルが衛星放送やYoutubeで有料配信している棋戦放送から将棋差し手の情報を視聴して、これをYoutubeで配信することが問題となっています
Youtube配信はおおよそ2種類に分けられ、
① 差し手情報を評価値アプリに入れて、
どちらがどれだけ優勢かを次の差し手ごとに優劣評価して示すもの
この場合、対局者がどの差し手を指したかは表示せず
② 上記同様の優劣評価とともに、
将棋面を表示して駒の配置がどうなっているかを示すもの
今回の高裁の前の大阪地裁での訴訟は、
将棋専門チャンネルが権利侵害だとYoutubeに申請して配信を止められたユーチューバーが訴訟を起こしたもので、配信停止に伴う損害を申し立てたもの。
ユーチューバーは②形式で配信していました。
大阪地裁では配信停止を申し立てた将棋専門チャンネルが敗訴。
このため将棋専門チャンネルが高裁に上告したもの。
そして今回高裁の判断は、将棋専門チャンネル側のほぼ全面勝訴。
曰く、
・ユーチューバーの行為は棋戦を運営する日本将棋連盟のビジネスモデルを犯すもの
・ビジネスモデルが壊れれば、将棋棋戦の運営ができなくなる恐れもある
・将棋専門チャンネルは権料を日本将棋連盟に支払い、放映しているものであるが、
ユーチューバーの行為はそれにただ乗りしているだけ。不正行為である。
・不正行為を行っているユーチューバー側に損害が出ても、賠償する必要はない
最終的には最高裁に上告して判断が仰がれるのでしょうけども、日本の裁判事例だと手続きの整っている高裁判断が最高裁で覆ることはほぼないそうです。
今後、少なくとも②形式のYoutube配信は不正行為とみなされたので、日本将棋連盟や将棋専門チャンネル側からのYoutubeへの配信停止申請がどんどんとなされるのでしょう、、、
今日は王将戦が開催されています。
Youtube上ではいまだに盤面表示をした「評価値放送」が数件投稿されています。
配信停止が認められると当該動画だけでなく同ユーチューバーの一連の動画が停止され広告収入も支払われないようですから、早く見切りをつけるべきなんでしょうけども。

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