塩酢 あるいは塩噌
両方ともエンソと読みます。
後者は塩と味噌なので、エンソと読もうと思えば読めます。
前者は酢(ス)をソと読まないと読めません。
この「ソ」は常用漢字「酢」の「表外の読み」になります。
ネット上に表外の読みのリストを公開されている方がいて、これをベースに表外の読みを整理中です。
ほとんどの表外の読みは、日常で使われているモノですが、中には仏教用語、古事に基づくもの、それぞれの業界用語、、、みたいなものがあり、見知らぬ音読み訓読みを辞書で引いて、用例を空欄に書き込む作業を行っています。
もとにした表では1156字の常用漢字に表外の読みがあるとしており、昨日今日で何とか第1次の用例取りまとめを終えたいと思っています。
今日は将棋棋聖戦第3局がありますから、将棋を見ながらの片手間仕事です。
弁天娘女男白浪 「浜松屋見世先の場」
さて冒頭のエンソですが、歌舞伎弁天娘女男白波、「浜松屋店先の場」で女装姿を男と見あらわされた弁天小僧のセリフとして「秋田の部屋ですっぱり取られエンソに困るところから、、、」と「知らざあいって聞かせやしょう」につながる部分で出てきます。
何度も見たり聞いたりしている中、この「エンソ」については、わからない言葉としてそのままにしていました。
今回調べると、この弁天小僧は二代目河竹黙阿弥が書き下ろした台本で、同じ黙阿弥が書いた三人吉三廓初買にもエンソが出て来るそうで、1860年頃の江戸でエンソという言葉がよく使われていたようです。
ただ弁天小僧のエンソが塩酢なのか塩噌なのか、現時点で不明です。歌舞伎台本は口伝えで伝わっており、後の人が書き留めたものを我々が文芸作品として読んでいるので、元々がどちらかは不明。
なお、塩酢、塩噌とも、日常の食べ物、日常の生活の意味です。
上記、弁天小僧が「エンソに困るところから、、、」と言っている主旨も、日常の食べ物にも困っている、あるいは日常の生活に困っている、、、どちらも当てはまります。
実に40年ぶりくらいで、わからない言葉が分かったわけで、人生学びは大切んだとしみじみ思いました。
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