タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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首実検

 歌舞伎演目の盛綱陣屋では、弟の偽首を見ながらも、甥が切腹して命がけの証拠立てを見て、主君に対して「弟の首に相違なし」と言い切る場面があります。

 十七代目勘三郎の演技で、ずっと気になっているのはこの場面。
 小柄を死に首の耳に突き刺す場面です。

 耳に半ば刺した小柄を取っ手のように持ち、首を回転させて、自分の正面に向けます。


 「面体傷じたれど、弟佐々木高綱が首に相違ない、いやさ相違ござりませぬ」
 と見えを切る際、右手に小柄、左手は首桶の蓋を持って、盛綱は主君時政の前面に首を
差し出します。この一瞬前、小柄は引き抜かれます。


 死に首の耳に小柄(細身の刀)を刺すこと自体、ちょっと異様だと思い、wikiを見てみる
と、そういった記述は見当たりません。



 ちなみに、今年3月の国立劇場公演でも盛綱陣屋は公演されたようで、尾上菊之助の写真
を見ても、死に首に耳に小柄が刺さっています。


 歌舞伎は各時代の俳優によって「型」が作られていて、それを踏襲していくことで、伝統
を繋いでいます。どの時代かの名優が作り上げたものか、あるいは先行する人形浄瑠璃からのものなのか、歴史史実があったのか調べたく思っています。


 私が見たのは、昭和61年歌舞伎座での収録。
 先代勘三郎、歌右衛門、扇雀、先代芝翫、先代仁左衛門、羽左衛門。
 私に歌舞伎のすばらしさを教えてくれた俳優陣の素晴らしい演技です。