タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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講談社学術文庫 日本の歴史シリーズ

 最近、ベッドの照明を変え明るくなったので、夜寝る前に本を読む生活。


 もともと、最近室町時代について興味が増していて、室町関連の本なりYoutube動画なりを見ているわけですが、この本の扱っている分野の広さ/深さには驚いています。
 個人的には「室町時代再発見」という感じで興味深くもう少しで読了。 


 歴史の本だと思って読んでいて、著者は東大の日本史の先生なので、通史的な内容は充実しています。
 ただし本の題名が「室町時代の精神」なので、文献から歴史的事実を拾い出すという歴史学だけではなく、現代に連綿と続く室町文化あるいは精神構造がいかに作られたかという点についての論考が特に興味を覚えました。


 例えば、能は世阿弥により形作られ現代まで伝わっているわけですが、世阿弥はなぜ能を大成できたのか、、、それは世阿弥の能を理解し批評できる知識人,,,室町幕府の武家官僚たちがいたからだというのが論旨。
 全然考えたことありませんでしたね。


 また例えば下克上。家臣が領主を襲う、「家」を乗っ取る,,,無法の世の中ですね、、、多分一般にはそう理解されていると思います。


 ただし、「家」というものがあり、家には家長である歴代続く家系に連なる人物=領主がいて、これが仮に社長とすれば、その社長が所有管理している膨大な領地があって、その土地にはそれぞれ管理人である部長や課長に相当する人物がいて、そののち家老という名称で呼ばれる専務/常務取締役階層もいたわけです。あるいは領主と血縁で繋がる他国領主も。


 平時であれば凡庸な社長であっても「家」は維持できたでしょう。
 いつの時代、どの組織にも派閥が出来て、他国から攻められて負けてしまえば専務常務は殺され部長連中は失業してしまう状況であれば、「あの社長では「家」は維持できない」とそれぞれの派閥が家を統率できる新しいリーダーを担いで争い合う。
 それが下克上という現象だと思えば、あながち乱暴狼藉、忠節心欠如などとは言えなくなります。


 ということで、もうすぐ一冊読了。
 ブックオフで次なる本を確保しようとして、同じ「講談社学術文庫 日本の歴史シリーズ」から現時点で在庫がある本を見繕ってポチリ。 

 シリーズとしては30冊以上ありますが、中古本で入手出来て面白そうなのは上記4冊でした。