タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

Pattayaでのリタイヤライフです。旅行/日常生活/ゴルフ/鳥見/タイ語学習

バルマー系列

 私大きな思い違いをしていました。
 バルマー系列って、励起した水素原子が一番内側の電子軌道に電子が戻る時の系列だとばかり思っていました。

 水素原子核の外側に電子が取れる軌道がn=1、n=2、、、、とあり、一番内側であるn=1の電子軌道が一番電子としてのエネルギーが小さな状態で安定的であるはずで、紫外線等の電磁波で励起した電子は、一番安定な一番内側の電子軌道に戻り、この時に発生する電磁波が我々天文界隈で重宝するHα線だとばかり思っていました。


 ところが、一番内側に戻るのはライマン系列であり、図で示されるように第二軌道に戻る系列がバルマー系列で、この際に発せられる電磁波がHが付く電磁波であり、この中にHα線が含まれるとのこと。
 バルマー系列の中で最も波長の長い(すなわちエネルギーの小さな)電磁波が波長656nmのHα線であり、図で見るとn=3軌道からn=2軌道に落ちる時に発生する電磁波であるようです。
 天体に使うフィルタの中にはHβ線を透過するフィルタもあり、これはn=4からn=2に戻るときに発生する電磁波であることがわかります。

 n=1が一番エネルギー準位的には低く、励起された電子としては一番戻りやすい、、、あるいは一番発生する可能性のある電磁波なのかもしれません。


 でも我々天文界隈でn=1に戻るライマン系列の電磁波が着目されないのは、ライマン系列が紫外線領域の波長の短い電磁波だからのようです。またn=3に戻るパッシェン系列も赤外領域の光となっています。紫外線や赤外線領域の光は大気成分に邪魔されて地球表面に到達しにくい電磁波です。
 対してHα線を含むバルマー系列は可視光領域であり、地表面で望遠鏡を構えていれば容易に観察できる波長の光であるため、天文で有用な波長となっているようです。


 地球大気から離れた宇宙空間では、我々が赤い星雲として見ているオリオン大星雲が、ライマン系列の紫外線で照らされていることもありうるわけですね…