水没直前、タイ最古の涅槃仏
当たり前といえば当たり前なのですが、1000年前でも500年前でも100年前でも、
タイの主要な交通路は川でした。道路などほとんどなく、川沿いに物資が運ばれ、
川に沿って都市が作られ都が出来ました。
川岸の堅固な地盤の上に王都や寺院が出来たのでしょうが、それはあくまでも相対的で、
洪水が続けば水に浸かる寺院も多いわけです。
今回最初にニュースになったのがスコータイで、直近ではアユタヤが水没の危機に、
そして、ナコンラチャシーマの旧都が水没しかけています。
2019年12月29日に訪れた「1300年前のタイ最古の涅槃仏」が水没の危機。
巨石を組み合わせて涅槃仏は出来ています。
実際に1300年経っているかどうかは疑問符付きのようですが、
経年変化で石に隙間が出来ています。変な改修をせず、このままの形で保てれば、、
場所はタイ東北部ナコンラチャシーマ県。
ナコンラチャシーマ市から30㎞ほど離れた場所にあり、
ナコンラチャシーマ自体は城郭都市ですが、そこに王都が移る前の旧都に、
この涅槃仏はあります。
タイには各地に王がいて、その王を束ねる形で各王朝が成立しました。
「本当に」1300年前だとすると、ドヴァーラヴァティー王国なる王朝が、
バンコク西部50㎞のナコンパトムに首都を置き、タイ全土に君臨していました。
1300年前はあくまでも伝説では、、、というものらしく、
1100年前説もあり、そうするとロッブリーに都があったラヴォ王国時代作になります。
製作年代は定まっていないようですが、タイ最古であることは間違いないようです。
足元の方から見ています。
多分、創建当時は漆喰を塗っていたと思われます。
露座だったかどうかは不明ですが、現在は仮屋根で覆われていますので、
比較的長い間、露天に置かれていたようで、上塗り部分は無くなり、
素材の岩も、随分と風化が進行しています。
寺を訪れた時、新しい布で涅槃仏を覆う儀式をするところでした。
遺跡と宗教は難しい関係です。
宗教から離れて遺跡だけになってしまうと、国の乏しい財源で保護されるだけですが、
宗教の中に取り込まれると、歴史的遺物が改変される可能性もあります。
、、、まあ、布を巻くくらいなら、歴史的価値は変わらないですけどね。
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