サパーン・コーム
サコンナコンに立ち寄ったのは、สะพานขอม サパーン・コーム(クメールの橋)と
呼ばれる遺跡を見たいというのが最初の動機。
サコンナコン市を貫通する道路の広い中央分離帯に、サパンコームはあります。
道路の路面高さと道路沿いの地盤高さとの違いはありません。
これに対して、橋の路面は1m程下がった位置にあります。
地盤の隆起、火山の降灰等による埋没、、、いろいろ考えられますが、、、
サコンナコン市街は大きな湖に接しているため、湖岸沿いの土地を埋立て造成して市街化
したために、旧地盤とこれだけの差ができたと理解する方がよいのかも。
橋面には階段で上っています。背面側にも階段があります。
階段に掲げてあるのは橋の名前が書かれたもの。由緒等の看板はありません。
市内2カ所のクメール寺院の建造年代は10-11世紀なので、
この橋もおおよそそのくらいなのでしょう。
ちなみに、タイがクメールから独立するのは13世紀中ごろのこと。
前後が階段ということもあり、轍のあとはありません。歩いて渡ったのでしょう。
仮にゾウ戦車が渡るときは前後に土を盛って斜路を作ったのかなと妄想。
欄干はありませんし、造作した跡もありません。
横から見るとこんな状況。積み石3段が橋桁相当の厚さ。
クメールのアーチ橋には2タイプあり、
左右から切り石を突き合わせてアーチを閉合させたものたもの、
この橋のように迫出しの上を桁状に渡したもの。
本橋は後者。本橋のアーチは11径間あります。
この寺院は本橋から4㎞ほどのところにあるクメール寺院ですが、祠堂から張出した
屋根が迫出しアーチで作られています。
タイでは、西洋風な円弧状に切り石を並べるアーチは、アユタヤ後期(18世紀ごろ)
になって初めて出現します。
July 2012:世界の橋なみ | KAJIMAダイジェスト | 鹿島建設株式会社
ちなみに、地面の下はこうなっています。
このカンボジアの橋は、大規模な橋で、アーチの隙間が2m以上ありそうですが、
サコンナコンにあるクメールの橋ではアーチの隙間は70㎝程度。
脚と隙間がほぼ同じ程度の規模的には小さなアーチ橋です。
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