Hearing on "Pathway to a Vaccine: Efforts to Develop a Safe, Effective and Accessible COVID-19 Vaccine" | Democrats, Energy and Commerce Committee

　昨晩、米下院の公聴会に、メルク、モデルナ、ファイザー、ジョンソンアンドジョンソン、英アストラゼネカの代表が呼ばれて、議員さんの質問に答えました。
　公聴会というお話だったので議事堂で行われるのかと思いましたが、今のご時世なので、リモート会議形式の実施。

　現時点での米国ワクチン開発ワープスピード計画は、議会での予算の裏付けなく、ホワイトハウスがワクチン開発技術を持っていそうな会社を一本釣りして、当面必要な資金を供与するというもので、1社あたり5億ドル～15億ドル（概算）､､､500億円から1500億円を渡しているという、日本的に見れば空前絶後の状況。基本的にはR&Dに必要な費用を渡していますが、ワクチン製造会社には工場を作る費用も渡しています。

　現時点で50億ドルほど使っていますが、やがてはこれも議会からの後付け承認が必要ですし、議会は議会として250億ドル相当の予算を考えているらしく、公聴会開催となりました。

　その一部の内容が日本語記事になっています。

コロナワクチン「原価では販売せず」、米製薬2社が明言 - ロイター

　この表題、『コロナワクチン「原価では販売せず」、米製薬2社が明言』というもの。エッ、原価販売しないの？ という表題の付け方です。

　企業はリスクを取って商品開発し、それを販売するわけですから、そのリスクプレミア分は、価格に上乗せして販売されてしかるべきではあります。とくにウィルス開発は、千三つ、というか、当たりはずれのある創薬事業です。

　ただし今回の場合、米国政府が必要なR&D費用は出すから、ワクチン作って､､､というスタンスで進んでいて、前述のように、米国政府からの費用前渡しで開発が進んでいて、企業側のリスクを米政府が肩代わりしている形になっており、ワクチンを作る手間代は原価としてとるのもいいけど、利益を上乗せして売るの？という感じもあり、ロイターの記事のようになったようです。

　ジョンソン＆ジョンソンとアストラゼネカは原価販売、モデルナとメルクは利益上乗せ、ファイザーは??ですが、以前の発言だとそれなりに利益を上乗せるという考えのようです。

　記事の内容は原価 or 原価+利益､､､と、その発言しか載せていませんが、何となく、利益を載せたら不当だ､､､という感じにも読み取れます。

　ただし、今まで供与された金額を横並びで見ると、相当のバラつきがあり、弱小会社はほぼ丸抱え、大企業は足りない金額を若干､､､と、政府の金の入り方が様々です。
　そもそも原価なるものがどういう計算なのか、各社でまちまちなので、一律に議論するのもおかしいとは思います､､､

　なお、仮に原価で販売といっても、それは資金を受けた米国向けに､､､です。恩も義理もない日本向けはそれなりの利益を載せて販売されるものとは思います。
　また、ワクチンは毎年のように新型に対応したものを作り提供されます。原価販売が、今年分なのか、未来永劫なのかは、文脈として読み取れませんでした。