タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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タイ国内旅行 27 北部低地 ㉚

Wat Thong Thaiyaramの橋 (ナーン川)
4径間連続中路トラス橋
橋長135m(最大支間48m)

 この橋は、昨年3月にも訪れた橋。
 トラス構造的なことについては、その時点で十分観察していたので、確認したかったのは1点のみ。「あれはどうなった?」

 右岸側の第1橋脚。橋脚がありまして、橋桁の下、向こう側が見えますよね。


 本来なら、橋桁を支えるために、橋脚と桁はくっ付いていないとダメなわけです。
 でもこの橋は離れています、、、言い方を変えれば、支えられていません。まあ日本なら当然通行止めですが、昨年3月も今も、通行出来ています。


 なぜ橋桁がボキッと折れないかですが、結論としては橋の断面が余っているからだと思います。設計を簡便にし、鋼桁製作を簡便にしとした結果、橋桁が過大に設計されています。桁の余力の中で何事もなかったように、橋は空中に浮かんでいるのだと思います、、、。


 ただし、どうしてこんな状況になってしまったのか。この写真を見るとヒントらしきものが見えますが、自分なりにうまく説明できないので、3たび再訪するまでの宿題。

 支点上で浮いていることを除けば、この橋そのものはタイの標準的な鋼トラス橋です。
 河川内に4脚の橋脚があります。

 橋桁は橋脚上でコンクリートに埋め込まれています。個人的にはこの構造は大好きです。
 左岸側から見ていますが、第一橋脚、第二橋脚ともに大きく水平あるいは斜めにクラックが入っています。手前のクラックは見えると思います、第2橋脚のものは見ずらいですね。


 橋は温度で伸び縮みします。抑えようとしても抑えきれませんし、仮に無理やり抑えるのに成功したとしても、桁が曲がります。


 この橋梁は桁が勝ってコンクリート橋脚上部が押し込まれひび割れが入ったということです。ある程度のひび割れが生じるのは想定内として、そのひび割れを制御するためにコンクリートの中に適当な間隔で鉄筋を配置すべきなのですが、この橋では、、、というかタイではあまり考えられていないようです。dも、ここまでの大きなクラックが生じた例はあまり見ません。

 今までに数多くの鋼トラス橋をタイで見ていますが、実はこの橋が(一生懸命に見た)最初の橋でした。
 見た目はきっちりしていますが、細かい配慮が各所で欠けています。トラス橋については「チャイニャート行」のところで随分と言及したつもりです。

 トラスを構成する斜めの部材(斜材)はコの字断面の型鋼を組み合わせて四角い断面にしています。閉じ合わせて溶接付けしています。最低限、連続的に切れ目なく溶接すべきですが、この橋では断続的に行っています。隙間からは水が入りますよね。

 実は根元のところを見ると水抜き穴が見えています。ただ詰まっているようですし、▢断面の中は防食されていませんので、中から錆びてくるわけですよね。

 この橋、利用はされています。引っ切り無しに往来がありますが、常時、橋に乗っているのはバイク1台か数台程度です。


 一般に橋の設計では、人が隙間なく並ぶとか、車両を最大限並べた荷重で設計します。これを満載といいます。通常、満載になることはありませんので、橋桁はもっていますが、何らかの行事で人がびっちり並んだら、桁の余力を越えてボキッと折れるかもしれませんね。