タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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タイ国内旅行 20 チャイニャート行 ⑩

 運河に舟運の航路が設定されていたとして、所定の幅と高さを橋桁の下に確保する必要があります。


 安価な材料を選んだ結果として木橋が作られました。
 大断面の木材は高価で架設には大きな機械が必要です。したがって細い部材を組み合わせて橋を作れるトラス構造をこの橋梁では採用しています。


 トラス橋には、トラスの上に路面を作る上路橋と、トラスの中に路面を作る中路/下路橋がありますが、橋の縦断線形(路面の持ち上がり)を抑えようとすると、下路橋を採用することとなります。

 橋桁の上に四角い門構を組み、上部の角から斜め下に逆三角形の部材を入れ込みます。
 この橋では、橋桁の中央直角方向に木の部材を配置し、その木の部材を逆三角形の頂点で持ち上げる(下がらない)ようにしています。

 トラスを横から見ると上側と下側に水平材があります。本橋では下側の水平材は路面を支えています。
 上側の水平材は、橋全体を折り曲げるような力に抵抗して圧縮力を受けます。このため、左右の水平材はそれぞれ、2枚の板を重ねて力を受けています。そして部材は圧縮力を受けると外側にはらむように変形しますので、横材を配置して横変形を抑えようとしています。


  上記と同じ運河に架かる橋です。同じ運河ですから、仮に航路幅等が設定されていれば、同じ大きさの空間を跨ぐことになり、仮に最適設計を行えば、すべて同じ形の橋になるはずです、、、

 この橋の形式を明確に「コレ」っていうことは難しいです、、、標準形ではありません。
 この橋の肝は、柱から斜めに張出された「斜材」です。これにより橋桁が下に撓まないように支えています。斜張橋に近い形式だとは思います。


 左右からの斜材をよく見ると、それぞれが2枚の板から構成されています。そして材木の色が随分と違うので、違う時期に設置されたものと思われます。


 経緯が全く不明なので考えられるのは、
① 橋を作ってみたが、随分と揺れたり撓んだりするので、時間をおいて、下の部材を追加した。
② もともと2枚構成の斜材だったが、揺れ撓みが大きいので、下側の斜材を取り外し、より大きな断面のものに取り換えた。


 個人的には②なのではないかな、と思います。

 これは橋桁の中央部を拡大してみています。
 2枚構成の斜材が左右から来ています。それぞれ下側の板の方が、断面が大きいことがわかります。そして、これらの板を橋に取り付けているのは、銀色に見えるボルト1本です。現地で確認しましたが、ボルトの径は6ミリ程度でした(写真はボルトの頭が見えているので太く見えています)


 この橋は危ないと思います。ボルトは電気メッキがされていましたが、すぐに錆びそうですし、板の断面に比べ、相対的にボルトの径が細すぎます。この橋には冗長性(リダンダンシー)が全体的に不足しています。1本のボルトが錆や荷重で破断したら、全体的な崩壊につながってしまいます。