タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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タイ国内旅行 29 カオソック国立公園 ⑫

Chulachomklao Bridge


鋼トラス橋3連、橋長200m(80m+60m+60m)
鉄道と道路の併用橋、鉄道はタイ国鉄南本線、道路は国道41号(旧道)


 現在は、鉄道はそのまま、道路は遊歩道としてのみ。ただし小生も含め歩道部からバイクで進入。ごく普通にバイク道として活用されています。

 スラタニ駅前の中央分離帯の照明柱。

 トラス橋がモチーフとなっています。

 バイクを反対車線側に止めていますが、自動車は完全にシャットアウト。
 Googleマップの写真を見ると、タイ全土からバイク乗りがやってきて記念撮影する場所らしいです。


 現在の国道は上下線並列橋として架橋運用され、形式はPC変断面の合成I桁橋(日本にはない形式)です。

 現役の頃、トラスって大嫌いでした。関連して多主桁橋の対傾構や横構なども。そのうちに補剛材なども嫌いになりました。


 小さな部材をコチャコチャと組合せ、煩雑にしているだけだと。
 塗装も面倒だし、塗装のモチも悪そう。として、


 今見ると、頑張って誰かさんがメンテナンスをきちっとしている前提でみれば、クラシカルでいい形だなあと。

 タイの鉄道橋の歴史を見ると、このような鉄道道路併用橋は数多くあったようです。今から100年以上前のお話ですが。


 バンコク・チャオプラヤ川を渡るラーマ6世橋(国鉄南本線)も、もともとは併用橋で、のちに鉄道単独橋に改修されたとか。これを機会に、古い鉄道橋を見て歩くのもいいかなと。 

 トラス上弦材の角。板厚の補強のためにアングル材を4組組み合わせてリベットで貼り付けています。鋼橋はこういう自由な部材設計が本来的には可能な形式なんですよね、、、。まあ当然、見栄えは悪いし、水も溜まりやすくなってしまうのでしょうが。

 こういうのって、一部材ごと設計計算書があるんですかね。部材断面に応じて、およそのリベット配置というのは決まっているのでしょうけど。

 同じ個所を外側から見た図。だんだん見慣れていくと、リベットの配置本数の間違えって、意外と簡単に見つけられるのでしょうね。

 トラス中間格点部

 トラス中間格点部を外側から見た図
 トラスの構造計算を忠実に再現したアイバー構造から、このような剛な構造に変えていく過程の中で、いろいろな試行錯誤があったのだろうなあ。

 この剛結構造を担保するような変な部材(差し込み方式の添接板スタイル)も時代の過渡期に出来たのでしょうね。構造的に端柱と下弦材をうまく繋げられないのでこんな形になったのかな。



 側面からの写真。
 当初、支間割を確認せずに現場に行ってしまったため、手前側2連(スパン60m)と、一番奥の連(スパン80m)の桁高とか骨組みの違いについては確認できていません。

 床版は縦桁4本で支持されています。面白いと思ったのが、トラス状の縦桁の横桁が見えますが、中央の桁間に設置されていないこと。道路は2車線ですが、自動車は車線を守って走行するから、中央の床版には自動車は乗らない、、、とでも考えているのでしょうか? 

 もっと面白いのが、縦桁を支間の途中で下から受ける部材として、補助横桁や横構を使っていること。左のごとく縦桁の鉛直荷重を受けるものとして現場では理解しましたが、これって横構等の細長比を改善するものなのですかね?
 ちなみに本当の横桁は一枚前の写真の上端にリベットを下フランジに打った姿が見えます。

 支承周りの板厚が随分と薄いなあという印象。上シューと桁が4本の細いボルトで止まっているだけ、、、地震がない国だとこんなもんでモツんですね。

 チュンチョームクラオ橋。
 仏暦2496年とありこれは1954年になります。橋の歴史を調べると、最初の開通は1916年だったようです。その後第2次世界大戦で爆撃の被害を受け、改修を終えたのが1953年だそうです(1954と1953の違いは、タイ暦の元日が太陽暦と異なるためと理解)。どこまで1916年の原形を保っているかは不明。


 ここまで調べて、日本人として責任を感じてしまいました。
 タイは真珠湾攻撃の日に進駐した日本軍に結果として協力することになり、同時に、日本は英国支配下のシンガポールも占領した結果、現在のタイ国鉄南線は、シンガポール~タイを結ぶ鉄道幹線になり、連合軍の攻撃標的になったようです。

 英国のSkinning Grove社(高炉メーカー)の鋼材のようです。

 Dorman Long &CO 。1932年に開通したシドニーハーバーブリッジを建設した会社です。製鉄部門も保有していたようです。この橋に材料のみ提供したのか、建設工事も請け負ったのかは現時点で調査不足。