タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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タイ国内旅行 20 チャイニャート行 ㉗

 橋桁の高さと長さ(=支持点間距離)の比を桁高/支間比といい、道路橋だと1/9くらいです。トラス橋はもともと、木材など細長い材料を組み合わせて経済的に大きな橋を造る構造形式なので、細い部材でも耐えらえるように桁高を高くして使います。
 この橋をスケールアップすると1/17となり、非常にスレンダーです。

  ちなみに、これは(タイの)国道3号上に架かる最新型の歩道橋です。道路中央分離帯上に橋脚があるので、この橋の場合、左の階段から橋脚までの間で計測すると、桁高/支間比は1/8です。ノイ川に架かる錆だらけの橋が、如何にスレンダーにできているかがわかります。

 川岸の向こうは仏教寺院です。
 この街にはノイ川の樋門があり、大きな仏教寺院が3つあります、、、その3つとも同じ形式の歩道橋で対岸の集落と繋がっています。

 橋桁の主部材であるトラスを横方向から見ています。
 トラスはWWが繰り返すワーレントラスと呼ばれるもので、2面のトラスで一つの桁が出来ています。トラスの斜材は角パイプです。桁高を絞ったため、せん断力が増したための措置です。
、、、卑近な例で説明すれば、紙をはさみで切るとき紙にかかる力がせん断力です。はさみで切れないようにするためには紙を厚くするかあるいは紙を丈夫にするかですが、今回の場合トラスを2面入れて丈夫にしたということです。

 トラスの上弦材を斜め上から見ています。
 上弦材はコ字を伏せた形になっています。通常、溝型鋼というものを使いますが、設計断面が足りなかったのか、フラットバー(=平鋼、平たい長い板)を溶接付けして溝形を作っています。人道橋で、溶接付けで断面形成した部材を見たのは、多分初めてです。

 この橋もNoi川に架かる橋です。場所はずいぶんと下流、アユタヤの近くです。
 Googleマップで見ると支間長(橋脚間距離)は20mくらいです。

 橋の入り口には、สะพานอุดมสมาธิวัตร サパーン・ウドム・サマーワットリーと橋名があり、直訳だと、橋・十分な・瞑想、、、十分に瞑想ができる橋?たっぷりな瞑想橋?豊かな瞑想橋、という意味?この写真手前側は仏教寺院の敷地です。
 左正面は非常に立派な寄進帳。この橋を建設するに必要な資金を拠出した人々の名前が刻まれています。タイ仏教では、この世で最も功徳のあることの一つが橋を建設すること。死んだ後、閻魔の前で申し開きをする際の証拠となるのでしょう。

 トラス下弦材は溝型鋼を上に向けたような形をしています、、、、だから土が溜まています。よく見ると塗装をした痕があり、よくぞここまで錆びさせたものだと思いますが、そんなメンテナンスだから、下弦材に土が溜まり草が生えるわけです。橋としては努力賞なんですが、早晩、この橋、落ちるでしょうね。
 この橋もWWと続くワーレントラスです。斜材は溝型鋼でトラスの△に対して、内側に伏せた形で二組の溝型鋼を並べています。
 ちょっと見えずらいですが橋桁の中にX字の横桁が組まれています。

 橋の継ぎ目。東南アジアでよくある、橋桁の遊間(=隙間)を狭くする工夫です。真ん中のコンクリート部材は橋脚天端から立ち上がっています。こうすると、橋が温度等で伸び縮みしても、その変化量は半分になります。

 ちょっと珍しい橋脚。柱が4本立っていて、川方向に3本、真ん中の柱は横断方向に2本に分かれて踏ん張っています。、、、踏ん張り方が珍しいです。
 タイは地震がない国なので、橋脚は主として橋の自重など鉛直力を支えればよいだけなので、柱が細くなります。川の中の脚は円断面もしくは小判型にする方が望ましく、柱を林立させるとごみが溜まり、洪水時の塞き上げや、これによる想定外の橋脚への外力が発生し、望ましくありません。