ラヨーン国立公園/植物園巡り ⑤
Khao Chamao- Khao Wong国立公園
パタヤのあるチョンブリ県の隣県のラヨーン県にある国立公園。パタヤ自宅から130㎞、バイクで3時間半かかりました。
渓流沿いに上る山道があり、訪問者は数百メートルごとに現れる滝を楽しむように園内が設計されています。
緑に溶け込んで見えるかどうかわかりませんが、橋のたもとにコンクリート柱があり、ここから斜めに鋼材が張り出されています。「斜張橋」形式です。
主部材は鉄骨を三角形に組み合わせたトラス構造を用いています。山奥なので大断面の鋼材運搬は難しいので、細かい部材を組み合わせるトラス構造が採用されました。
トラス構造と斜張橋形式を用いることにより、下からの支え無しで両岸から鋼材を張り出しながら、橋を架設することができます。
斜めの部材で橋桁を補強しています。三角形の頂点から鋼棒が鉛直に下がっています。これは歩廊を歩く人荷重により下弦材(トラスの下側の部材)が受ける荷重を上弦材に伝え、全体的に橋の軽量化を図ったものです。
橋の端部の写真です。
上弦材から水平方向に部材が出て、これがコンクリート柱に埋め込まれています。
また橋桁端部からも横部材が張出されコンクリート基礎に固定されています。
これらの構造により、橋桁端部は大地に固定されて橋桁の回転が拘束され、あわせて柱から斜めに張出される鋼材により橋のたわみが調整できます。
日本では見たことありません。「自由自在の設計」という言葉が思い浮かびます。
日本だと地震を考慮せざるを得ず、コンクリート柱がトラス橋とは別の周期で動くとき、細い部材のトラス桁に無理な力がかかるんじゃないかなという思いが先立ちます。
ということで、橋桁は滝壺に支えを設置することなく、左右から片持ち張り出し施工できることになります、、、が、橋の精度をみると、滝壺に木材等で台を組みその台上で精度管理されながら溶接で繋いでいったように見受けられます。
設計者の意図と施工者の都合が折り合わないという、よくある例です。
8月下旬、現時点で雨季であり、滝壺に水が満たされ雨が降れば激流が流れ下ると思われますが、乾期であれば激流が襲うこともなく、3-4か月は施工期間が取れ工期的にも十分だと思います。
なお鋼材は山道を人が担いで持ち上げたか、あるいは渓流沿いにロープを巻き付けて引き上げたのだと思います。
このような細かい部材(上横構、上横桁)もすべて溶接付けですが、現場で溶接しますので、「溶接できるところ」しか溶接していません。溶接は基本、下向きに溶接します。上向きに溶接しようとすると、溶接が垂れ下がります、、、ということで構造に余り重要でない部材の溶接は必要最低限にしているようです。
水が溜まっています。配慮不足ですよね。溶接で鋼材を組むとき余計なところまで溶接してしまったようです。この状態だと架設中にも同じ状況だったと思われます。見ればわかると思うのですけどね。対応としてはドリルで穴をあければいいだけです。
橋の前面側に左右4本の斜吊り鋼材が張出されています。これによってコンクリート柱は前側に倒れ込みますが、これに対抗するのが、写真のコンクリート塊から立ち上がる1本の斜め鋼材です。バランス的に考えてちょっと細すぎ、しかも斜めに引張っているので効きが悪そうに見えます。
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(おまけ)
いわゆる擬木の橋です。コンクリートで切り倒した木材をそのまま使った雰囲気を出そうとしています。日本だと橋の欄干を擬木を使って仕上げることがあります。
この橋では橋桁と橋脚を木の幹風に表現していますが、橋脚は立木を表現しています。
多分、橋脚の本数はもっと減らせるとは思いますが、周囲の木の根に影響を与えないために基礎を小さくできるように脚本数を増やしたのかもしれません。
塗色はもうちょっと配慮があってもよかったか、と。
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