タイ国内旅行 25 パヤオ孔雀の旅 ⑮
この橋の出現には、動揺しました。
一つには、今回の孔雀の旅は衝動買い的な計画でしたが、仮にこの地方を訪れるのならと、ここ半年近く、Googleマップで目ぼしい橋梁を順次リストアップしていました。この橋はリスト漏れで、「エッ、こんな橋あったのか」と、とにかくびっくりしました。
二つには、前夜、行程を再検討して、経路をショートカットすることとした結果、巡り合えたものなので、何となく運命的な出会いを感じたからです。
「ガオ川に架かる橋」と呼びならわされており、仏教や王侯貴族にちなんだ特別の名前は無いようです。 建設は1926年に始まり1928年に完成。90年以上前に架けられた橋のようです。
ネット検索しても、目ぼしい資料は出てきません。「タイで初めて架橋されたサスペンションブリッジ(吊り橋)」という記載を発見しましたが、これについてはどうだろうかな?という感じでした。
ひなびた地方小都市を通り過ぎようとして、街路を曲がった瞬間にこの主塔がみえ、心臓が止まりそうな衝撃を受けました。
座屈防止のために、部材中央を太らせたもの(?)。
こうやって見るといささか太いですが、斜めから見ると、シュッとしてきれいです。
塔頂部。
ケーブル端部は鋳物特注品なんでしょうね。
昔だから、計算の仮定をきっちり守ろうとして、完璧なピン結合にしています。
地面側は回転だけを許すピン構造。
この橋全体に言えることですが、こういう場所って、ごみが溜まって湿気が抜けず、ぐずぐずに錆びそうな場所ですが、ほとんど経年変化を感じさせません。
誰かが毎日清掃しているのでしょうか、、、
隣接橋が被っていて申し訳ありません、、、
こうやって見ると立派な斜張橋ですよね。ただし斜張橋とすると、ケーブルの仰角が小さいというか、ちょっと斜めに張りすぎている感じはします。
橋面は木製床版です。手すりもまた木製。しっかりとしたバックステーを取っているので、ある程度の衝突には耐えらえるとは思います。
タイ人の旅行ブログなどを読むと、多くの人が「木製の橋」と思っているようです。
鋼製部材で基本構造を作り、その上に木製横梁を渡し、木製の床を張ったというもの。
ある面大切な点として、この橋は地元の人だけでも、路面の傷みを直せる構造になっていることですね。
小都市の観光スポットになっており、橋詰にはインスタ映えする看板等も。
この橋は100年後も、ここにありそうです。
+++++++++++++これからいささか専門的な内容。
隣接コンクリート橋から。緑に被っていますが、主塔からのケーブルが支間中央でクロスしています。
主塔から斜めに張出されたケーブルは、直接桁を引き上げる形にはなっておらず、互いに交差して、最終的には桁に沿うように配置されています。
支間中央です。桁からU字形に折り曲げた丸鋼部材が立ち上がっており、桁を吊り上げる構造になっています。
ここもそうですね。
斜めに引き上げられているようにも見えますが、力をうまく流して、U字丸鋼への水平分力がキャンセルされ、吊り上げ力のみが作用するようになっているようです。
鋼横桁との取合が見えています。H鋼のウェブを板厚補強して、ピンを指し、ピンを突き抜ける形でU字丸鋼が固定されています。溶接が十分にできなかった時代の、先人たちの苦労と工夫が偲ばれます。
素人さんのブログにあったように、この橋は「吊り橋」なんですね。
ただし、タイ初かどうかは、今後の宿題。
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