語源辞典を読む ② 雁 カリあるいはガン
中学生の時に、まとめて何冊か、学校購入?で文庫本を買ったのが、文学書購入の最初だったような気がします。
その中に、森鴎外の「雁」がありました。
この「雁」、カリと読むのか、ガンと読むのか、いつも混乱したことを覚えています。
毎日、寝る間際、ベッドの中で読み進めている三省堂新明解語源辞典。
最近読み進めるペースが速くなり、昨晩の段階で「勘定」まで、270ページ読みました(全頁1008ページ)。
ぬばたまの夜わたる雁はおぼほしく幾夜を経てかおのが名を告る
万葉集。雁は己の名前を告げる鳥としています。
行きかへりここもかしこも旅なれやくる秋ごとにかりかりと鳴く
後撰集(平安時代)。雁が「かりかり」と鳴いているとしています。
雁 ガン
伊京集(室町末期)。同時に、雁がガンとも読まれていた事実もあるようです。
先ほどamazonでポチリした、「ちんちんチドリの鳴く声は」(山口伸美)によれば、近世以前、日本にはカリと鳴く雁と、ガンと鳴く雁がいたようです。
ただし、数としてはカリと鳴く雁の方が多く、鳥の名前もカリが用いられていたようです。近世になって、渡り鳥の飛行ルートが変わったようで、カリと鳴く雁の飛来が少なくなり、ガンの数は減らなかったため、近世以降、ガンと呼ばれるようになったようだとのこと。
これには雁の音がガンであり、雁行、雁木などの熟語もあって、受け入れやすかったからとも。
中学生以来の、頭の底に引っかかっていたトゲみたいなものが、無くなりました。
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