タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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日本海海戦 敵前大回頭

 昨晩、「坂の上の雲」第八巻を再々読。


 日本海海戦と言えば、はるばる北海からウラジオストックに回航されるバルチック艦隊を東郷平八郎司令官指揮する日本の連合艦隊が迎え撃ち、40隻余りの艦隊のほぼすべてを討ち取った会戦です。


 バルチック艦隊というと、ロシアの最強艦隊が日本までやってきたというイメージがあり
ます。しかし坂の上の雲でも何度も説明されていますが、ロシアの最強艦隊は旅順艦隊で
あり、これは旅順港に逃げ込んでいたものを、203高地を日本陸軍が抑え、ここを観測所に
して、海軍の主砲を陸に上げて狙い打ちすることにより、壊滅させました。


 バルチック艦隊は欧州で後方警備する艦隊で、ロシア海軍としては二線級の艦隊。
 かつ練度を高めた海兵は旅順艦隊に集めていたようで、艦隊を操作する海兵も二線級
であったとしています。
 しかも主要部分は日本連合艦隊より新しく大きな戦艦隊であったのですが、第二第三と
老朽戦艦隊を加えたため、これらが足手まといになり、最新鋭艦のメリットを生かせなかったとしています。


 実は、坂の上の雲の日本海海戦の部分を3度読んだことになりますが、両艦隊が日本海沖の島海上で出会い、ほぼ30分程度でバルチック艦隊の主要部をほぼ壊滅的に破壊した最初の
攻撃の部分が、理解できないでいました。


 多分に、この著作が連載小説で書かれたため、順次著者の思い込みで書かれ、それが後の
連載で事実や他の見解が補充され、全体として意味が通るように推敲されないまま、
発刊されたからだと思われます。

 特に、一番わかりづらいのが、東郷元帥が行ったという東郷ターン、敵前大回頭です。


 単純にいうと南からバルチック艦隊、北から連合艦隊が会戦場所に到達するわけですが、
このままだと両艦隊はすれ違ってしまいます。艦砲射撃を行う時間が短いわけです。
 よって迎え撃つ連合艦隊としては、どこかの位置でUターンして、連合艦隊側が
バルチック艦隊に寄り添う形で艦砲射撃を撃てる陣形になる必要があります。


 このUターン位置が、バルチック艦隊の射程距離に入った段階で開始され、海上のある1点で回頭するため、バルチック艦隊側からみると、連合艦隊がまるで止まったように見えることから、ロシア側が狙い打ちできるとしたことです。


 小説では、「波高し」なので照準が合いにくい、バルチック艦隊の練度は低く当たらないだろう、、、という状況判断のもと東郷が判断したとあり、後段で砲術の専門家の意見が補足され、バルチック艦隊は物理的に狙い打ちは出来なかったとしています。
 この辺がわかりにくいんですよね、、、

  両艦隊の航跡を表わした図があればわかるかな、、、と思い探していたところ、出会ったのが上記のサイト。


 結局、連合艦隊はまさしく海上で1点に止まったようになったのは事実なのですが、
実際にはUターンのため円周上を移動しており、またバルチック艦隊側は高速で北上して
いるため、両者の距離と方角は時々刻々変わります。これにより艦砲の発射設定ができず、
狙い打ちなどできなかったとし、実際のロシア側からの砲撃は、先頭の三笠が回頭を終えた時点から開始されたと、上記サイトでは説明されています。


 これは司馬氏が後段で加えた専門家の意見なのですが、図面で示されて初めてああそうな
のだと理解できました。


 これがわかると、ロシア側からの射撃が先頭の三笠に集中したこともわかります。
 連合艦隊は順次、回頭するわけですが、回頭中は狙い打ちできないので、艦隊の先頭に
あって最初に回頭が完了した三笠が集中的に狙われることになるわけです。


 回頭が完了すれば、三笠はバルチック艦隊と並走するので、距離と方向がある程度一定に
なり、ロシア側から距離を計測して艦砲を撃つことができます。
 これは三笠からも同じで、この時になって初めて、日本側の艦砲発射技能と下瀬火薬が
相まって、バルチック艦隊第一艦隊旗艦であるスワロフと第二艦隊旗艦であるオスラービア
に集中砲火でき、両艦は大火災になり、短時間に大勢が決まりました。