タイランド湾を見て暮らす・パタヤコージーライフ

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ゾミア 反穀物の人類史 ジェームズスコット

 

 「ゾミア」とは、ベトナムの中央高原からインドの北東部にかけて広がり、東南アジア大陸部の5カ国(ベトナム、カンボジア、ラオス、タイ、ビルマ)と中国の4省(雲南、貴州、広西、四川)を含む広大な丘陵地帯を指す新名称。 およそ標高300メートル以上にあるこの地域全体は、面積にして250万平方キロメートルにおよぶ。
 ジェームズ・C・スコット『ゾミア』 | みすず書房


 ゾミアという言葉を初めて聞きましたが、ベトナム~タイで生活し、山岳部をバスで何度も旅行した私にとって、親しみのある人たちのことが描かれている本です。


・なぜ山岳民族は焼き畑をするのか
・なぜ山岳民族は穀物ではなくてイモを栽培するのか
・なぜ山岳民族は孤立してかつ平地民に融合しようとしないのか


 単純に考えれば、山岳地に住む人たちは平地に住む人たちに追われて山に移り住んだ人たちであり、山間の地であれば水田は出来ず、山を切り開いて畑地を作らざるを得ず、山を焼き、水稲ではなくイモくらいしか栽培できないであろう、、、そして土地は痩せているので数年で移動せざるを得ず、結果として孤立し融合しようとはしない、、、私がこれまでにいだいていた雑駁な理解です。


 上記の著作「ゾミア」また「反穀物の人類史」はエール大学の教授の作ですが、
・水稲と違いイモ類は地面の中で育てられ侵略者からの収奪、あるいは徴税の対象になりにくい
・山地を転々とするのは平地民に存在を悟られないようにするためであり、孤立は種族としての存続していくための戦略である。
・平地民と交流することにより、支配被支配の体制に組み込まれやすく、かつ多人数社会になり疫病に罹患する可能性も高い。
・平地民との戦闘を想定しなければ、集落に防御施設を作る必要もなく、また武器等の生活に不要なものも不必要になる。
・社会構成も集落としてのリーダーを必要とせず、集落内では貧富の差は少なく、平等社会に近い構成となる。 


 貧しく、一見、災害等に弱そうに見える山岳少数民族の人たちですが、実は、平和で平等な社会を実現させるため、敢えて孤立しているのだ、、、という観点のようです。



山の民はなぜ自らを野蛮化するのか?【ゾミア2】#230